タービン(ターボチャージャー)交換前のトラブルシューティング


ご存知ですか?

ターボチャージャーは1分間に20万回転を超え、800~900℃の排熱を直接受ける大変過酷な条件下で作動しています。

タービンによって回収される熱エネルギーは500mlのペットボトル100本以上のお湯を1時間に沸かすほどの熱エネルギーに相当します。

高性能で高い信頼性を得る為には、高度な流体解析技術、耐久性を確保する為の材料・構造設計技術、動作時の騒音低減技術、エンジンとの組み合わせで最大の性能を引き出す為のマッチング技術など、高度な技術を用いて製作されています。


長年に渡り、ターボチャージャーの交換理由をお客様からお聞きして来ましたが、最も多い理由が、(マフラーから白煙が出る)(ターボ本体からオイルが漏れている)(タービンからの異音)です。

しかしながら、これはでは単なる憶測での交換作業となります。

実際、お客様から返却されましたターボチャージャーを確認しますと約6割が不具合の無いコアとなっております。

何故、ターボチャージャーが故障したのか?

まず、ターボチャージャーの故障となった原因を追究し、その箇所を改善する事が最重要です。
安易な点検、交換作業では、早期に同じ不具合が再発し故障するのは間違いありません。

最近では部品交換作業のみが主体となっている整備工場をよく見受けます。
ターボチャージャーの交換作業は、他の部品に比べ、豊富な知識と経験が必要 です。

何故、ターボチャージャーが故障したのか?
説明ができる整備工場で修理依頼する事をお勧めします。


下記、診断用チャートをご参考の上、不具合の要因・原因等を追究して頂ければと思います。

診断用チャート



エンジンオイル管理不足による不具合


ターボ車は 、ノンターボ車に比べ、エンジンオイルのメンテナンスが非常に重要です。

一般的に 通常走行時の エンジンの回転数は1分間に1500~4000回転 の範囲内だと思います。

しかし・・・
冒頭で説明した通り、ターボチャージャーは1分間に10~20万回転にも及び、800~900℃の排熱を直接受ける大変過酷な条件下で作動しています。

当然ながら、この条件下にエンジンオイルはあるので、ノンターボ車よりオイルの劣化も早くなります。


エンジンオイルの劣化とは?? エンジンオイルには様々な役目が!!

1.潤滑、減摩作用

一番大きな役割です。オイルの潤滑膜を利用して摩擦と摩耗を少なくします。
原理は金属同士の間にオイルの膜を作り、金属同士が接触しないようにします。
劣化したオイルは潤滑膜切れを起こしやすく、磨耗も早くなります。

2.密封作用

シリンダーとピストン(ピストンリング)の隙間を密封するのもオイルの役目です。
劣化したオイルは燃焼ガスがオイルパンに逃げ、ブローバイガスとなって排出され、オイルの消費も早くなります。

3.冷却作用

燃焼した熱を冷却しているのは、冷却水と燃料の気化熱、それとエンジンオイルです。
実際に高温部分のほとんどが直接あたるエンジンオイルで熱を吸収しています。
劣化したオイルは熱の伝達率が悪く、熱を吸収してくれません。
  
4.清浄分散作用 (エンジンオイルに含まれる添加剤の作用)

高温時に劣化物が不溶性スラッジなどに変化しないようにしたり、付着したスラッジなどを取り除く清浄作用
低温時にできるスラッジやカーボンをオイル内に溶かして分散させる分散作用があります。
劣化したオイルはスラッジやカーボンの付着が目立つようになります。

5.防錆防食作用 (エンジンオイルに含まれる添加剤の作用)

エンジンは金属で出来ているうえ、燃焼時に水分ができる為、錆びが発生します。
また、燃焼ガスや酸化物質などにより腐食もさけられません。
金属自体に膜を形成して、金属と水分、酸化物質などを直接触れさせないなどの方法で錆びや腐食を防ぎます。
劣化したオイルは防錆防食作用も失います。


↓↓↓ オイルメンテナンスを怠った結果 ↓↓↓

1.油膜切れによるシャフトの焼き付き


2.スラッジによるオイルラインの目詰まり


3.オイルの汚れ、オイル内の異物混入による損傷


エンジン内部、ブローバイガスの過多による不具合


簡単にブローバイガスの説明をします。

ブローバイ(blowby)とは → 日本語訳で吹き抜け

吹き抜けガス

エンジン内部の構造図をご覧ください。(一般的なガソリンエンジンで説明します)

①燃焼室(シリンダー)内に吸気側から混合気(燃料と空気)が入ってきます。

②密封された燃焼室(シリンダー)をピストンが上昇することにより、混合器(燃料・空気)を圧縮

③ピストンが圧縮上死点に達するとプラグにより着火され燃焼(爆発)し、排気ガスは燃焼室から外へ排出されます。

④燃焼(爆発)した勢いで、ピストンは再び下死点へ押し戻されます。

ブローバイガスの正体は

燃焼(爆発)後の排気ガス・未燃焼の生ガスがピストンとシリンダーの間隙からクランクケースに漏れ出したガスです。

↓↓↓ ブローバイガスの多いエンジンに見られるオイル吸い込みの症状 ↓↓↓

1.ブリーザーからのオイル吸い込み事例


ブローバイガスが多くなる原因・・・


ブローバイガス(吹き抜けガス)が多くなる原因は様々です。

主に考えられる原因としては

1.ピストンリング、シリンダー(燃焼室)及び 吸気・排気バルブ摺動部の摩耗シールの劣化など

 走行距離の多い軽自動車は、普通車に比べると通常走行時のエンジン回転数が高く、高負荷がかかる為、
  エンジン内部パーツの消耗も早いので特に注意が必要です。

2.ブローバイガス通路、PCVバルブ等の詰まり 


力不足、加速不良などの原因


ターボチャージャーは構造上、給・排気の羽根が欠損、曲り、ハウジングに干渉等がない状態で、シャフトが軽く回るようであればターボ本体は正常と考えられます。

加給圧が上がらず出力不足、加速不良の場合は、次のような原因も考えられます。


〇 アクチュエーターの圧力調整、作動不良、(過給圧の上がり過ぎによる燃料カットも含む )

〇 排気バイパスバルブ(スイングバルブ)の固着などで排気ガスが逃げ、加給圧が上らない

〇 エアークリーナー・ホース・パイプ類の詰り、漏れ、破損など

〇 吸気側リリーフバルブの作動不良やエアー洩れ

〇 ダイレクトイグニッションなど、その他のトラブル


吸気側のインペラが破損している場合


下記の場合、吸入側から異物を吸い込んだ可能性がありますので、吸気側の点検が必要です。

エアクリーナーとターボ間の配管内などに異物が無いか、入念に点検して下さい。
ターボチャージャー周辺には、純正ガスケットを使用し、液体パッキンは使用しない。
インペラのナットがエアークリーナー、吸気パイプなどに残っている場合があります。


異物の侵入でインペラが損傷を受け、 バランス不良となり、ベアリングの焼付き、シャフト折損などに至ります。